もし毛利元就が現代の中小企業の採用担当だったら──?
安芸の小国からわずか一代で中国地方を制した知略の将が、履歴書を手に面接室へ現れたとき、彼がまず見るのは学歴でも資格でもなく、「誰と組んで何ができるか」だったはずだ。
三本の矢の教えは、現代の採用基準の本質を突いている。
戦国の謀将が現代のHR部門に転生したら
元就がやっていたことを現代語に直訳すると──「弱小組織のチームスケール戦略」だ。
出発点は安芸の小国・毛利家。石見・備後・周防と隣国を吸収・同盟しながら、最終的に中国地方10カ国を束ねる大大名へと成長した。
現代の中小企業HRに置き換えると、限られた採用予算でチームを最大化するプロフェッショナルそのものだ。
元就が採用面接で評価したであろう基準を並べると──
- 「誰と組めるか」──個人の才より、他者との相乗効果を重視
- 「育つベクトルがあるか」──即戦力より、成長の方向性を見抜く
- 「ビジョンを共有できるか」──忠誠心と方向性の一致を最優先
あなたの職場に「採用後に輝かなくなった人材」がいるとすれば、個人の問題ではなく、チームの矢の束ね方が問題かもしれない。
もうひとつ、元就が特筆される点は「敵将を家臣に取り込む」人材活用術だ。
戦で敗れた武将を処刑するのではなく配下に加えて組織の厚みを増す。
現代でいえば、異文化・異業種の人材をいかに組織へ溶け込ませるかという課題そのものだ。
多様な矢が束になれば、単色の束より格段に強い。
元就はそれを、500年前に実践していた。
「一人のスターを探すな。三人の凡人が束になれば、天才より強い。」
背景にあるのは、元就が晩年に三子(隆元・元春・隆景)へ示した「三本の矢」の教えだ。
一本の矢は折れやすいが、三本を束ねれば折れない──この逸話は、個の限界を超えるチームの力を端的に表している。
スタープレイヤーを一本釣りするより、束になって折れないチームをつくること。
それこそが採用の本質ではないだろうか。
元就の生涯を史実に忠実に描いた山岡荘八著『毛利元就』は、権謀術数と人材掌握術を同時に学べる歴史小説の決定版だ。
乱世を生き抜いた謀将の思考回路を、ぜひその目で確かめてほしい。
一方、現代の採用実務に落とし込んだ視点で読みたいなら、伊賀泰代著『採用基準』が刺さる。
マッキンゼーの採用マネジャーを12年務めた著者が語る「本当に求められる人材像」は、三本の矢の現代版といっても過言ではない。
あなたの職場の矢は、今、束になっているだろうか。
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