もし長宗我部元親が現代の副業申請した会社員だったら?

もし長宗我部元親が現代の会社員だったら?
戦国時代、農民を武士に変えた「一領具足」を生み出した男が、副業禁止の会社に入社したらどうなるか。提出する書類は3社分。止めようとした上司は固まる一方、会議室では3台のPCが並ぶ。
四国を一代で統一した男が「本業だけやれ」と言われて引き下がるはずがない。その理由が、450年前の軍制改革の中にある。

農民と武士を同じ人間にした——一領具足という前代未聞の軍制

一領具足とは何か。簡単に言えば「農民が農業と兵役を兼ねる制度」だ。
平時は畑を耕し、戦が始まれば武装して馳せ参じる。一揃えの鎧を手元に置き、いつでも戦える状態を保つ。専業の武士ではなく、農民自身が戦力になる。

なぜそんな制度を作ったか。土佐(現在の高知県)は豊かな国ではなかった。
三方を山に囲まれ、平野が少なく、経済力に乏しい。専業の武士を大量に養う財力がない中で、元親が選んだのは「同じ人間に複数の役割を持たせる」という発想だった。

これは単なる節約策ではない。
農民が「自分の田んぼを守るために戦う」という動機を持つことで、士気の質が根本から変わった。食糧を守る必死さと武士の戦闘力が、一人の人間に同居する。
結果として、土佐一国から出発した元親は四国全土を統一する。

「農民も武士も同じ人間だ。役割で絞るのが一番もったいない」

この名言の背景にあるのは、「人間の可能性を役割で切り捨てるな」という思想だ。
一領具足によって解放された農民兵は、土佐の弱小勢力を四国最強の軍団へと変えた。
とはいえ——「副業禁止の会社に申請書を3枚出す」なら、まず本人の底力が証明されていないと話にならない。

「姫若子」と笑われた男の初陣——弱く見られた時間は積み上がっていた

元親には「姫若子」というあだ名がある。
幼少期から色白で物静かで、武将の息子らしくないと笑われていた。18歳になっても初陣を経験しておらず、家臣の間では「本当にこの方が跡継ぎでいいのか」という声が出ていたという。

ところが22歳の長浜の戦いで、全てがひっくり返る。
元親は真っ先に敵陣に切り込み、兵数で劣る戦いを正面突破で制した。同日のうちに「鬼若子」と呼ばれるようになり、笑っていた家臣たちが翌日には「さすがは殿」と言っていた。

弱く見られた時間は無駄ではなかった。
観察する余裕があった。相手を甘く見させる効果があった。そして本当に必要な瞬間に、全てを一点に放出した。
転職1年目でも、異動初日でも、下積み中でも——この話は他人事に聞こえない。

役割を固定した組織が失うもの——一領具足が現代の副業論に問いかけること

「副業禁止」という言葉は、裏を返せば「この仕事だけに集中しろ」という命令だ。
しかし元親の視点から見れば、「農民は農業だけをやれ」と同じ意味に聞こえる。その農民が剣術の才を持っていたとしても、役割を固定すれば才能は死ぬ。組織にとっては損失でしかない。

副業を経験した人間が本業に戻ったとき、視野が広がっていることは多い。
別のフィールドで得た発想が、本業の問題を解くカギになることがある。一領具足の農民兵が「田んぼを守りたい」という動機で戦場に立ったように、副業で得た当事者意識は本業の原動力にもなりうる。

あなたは今、「本業だから」と諦めていることが何かあるだろうか。

長宗我部元親が現代の会社員だったとしても、きっと副業申請書を3枚出す。
断られても笑顔で「農民も武士も同じ人間ですから」と言いながら、3台のPCを並べるだろう。
役割を固定するのではなく、人間の可能性を解放する発想——450年前の軍制改革が、今の働き方に問いを投げかけている。
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